コーチングの目的は「進化」である~ 長谷川健志 オンラインセミナーレポート~

公開:2020/07/24

更新:2021/02/22

チームにも「フィロソフィー」が必要

さらに話は、長谷川氏のコーチングフィロソフィーと「チームを成功に導くため」のチームフィロソフィーについても展開されていきます。

↑長谷川氏の考えるチームフィロソフィー

日本代表のHCを務めた際に、国際大会に挑む中で起こった実際の出来事や、選手とのやり取りを交えながら、コーチとしての熱い思いが語られていきます。

チームフィロソフィーの中でもっとも重要なことが「実行」です。「規律」「勤勉」「協力」「情熱」を意識した行動を選手全員ができる状況が、自然とチームに浸透することで、伝統ができ、成長し続けるチームへと繋がります。

リーダーとリーダーシップの違いとは!?

「リーダー」は役割や行動、地位のことですが、「リーダーシップ」はポジションや立場に関係なく、問題やタスクを解決するために動く力であり、メンバー全員に必要なものです。そして、長谷川氏は普段の練習から指導者が育てて行けるものだと語ります。練習でリーダーシップを引き出すための具体的な方法として、

・5対5の練習の際に、「2Qの終わり得点〇-〇」など条件を設定する

・30秒~60秒で選手にどんなプレーが必要か話し合いをさせる

・リーダー的な存在の選手が話の中心になっている場合は、その選手には発言しないように制限をする

・実際にプレーをさせてみる

という方法が紹介されました。

こうすることで、実際に選手同士で会話が生まれ、課題を解決するための策を考え、実行できるようになります。その中でうまくいくケースも出てくるので、そこでコーチが「うまくいった」ことを認め、「うまくいったのは、みんなで同じ方向を向いてこういうことを決めたからだよね」「これって嬉しくない?」と声をかける。そうした声掛けにより、自分たちで話し合うのが当たり前という雰囲気を作り、各選手がリーダーシップを発揮する環境を作ることが大切です。

↑コーチは学び続けなければならない

最後に、コーチとして常に学ぶことの大切さについての話があり、講義が終了しました。長谷川氏の一言一言に、バスケットに対する「情熱」、選手に対する「愛情」、常に「学ぶ姿勢」を感じることができ、改めて指導者として重要な心構えを学ぶことができました。

受講者の方からは、

『「日本の選手は、リーダーシップを発揮するのをキャプテンや副キャプテンに頼ってしまう」 と長谷川さんが仰っていましたが、ホントにその通りだと思っていました。ここが指導する上でとても悩んでいた(特定の選手に頼ってしまい、特定の選手に余計な負担をかけてしまう)のですが、「リーダーシップを育成するために、コーチが色々なアクションを起こす必要がある」という言葉を聞き、リーダーシップは育成していけるのか!と思いました。』

『セミナー中に『情熱』という言葉が何度も出てきました。
画面越しや、生で長谷川さんが指揮をとってるチームの試合を見ると、ベンチからも選手からもその『情熱』が伝わってきました。
本日のセミナーでのお話を聞いて、やはりこの部分はとても大事にされていたんだなと納得することができました。』

という声をいただき、多くの学びがあるセミナーとなりました。

ジャパンライムでは引き続き、「コーチとしての成長」をサポートする企画を実施していきます。



長谷川 健志 Kenji Hasegawa

青山学院大学男子バスケットボール部監督として、全日本大学選手権大会優勝4回を含めファイナル4進出13回、関東大学リーグ戦優勝8回、関東大学選手権大会優勝8回。日本学生選抜監督、ジョーンズカップ日本代表監督、ユニバーシアード日本代表コーチを歴任、2007年ユニバーシアード競技大会4位(バンコク大会)日本代表監督、2013年ユニバーシアード競技大会(ロシア)日本代表監督を務める。2014年から2016年は男子日本代表監督として、2014年FIVAアジア競技大会で銅メダル獲得、2015年アジア選手権でのベスト4進出を果たす。その他、日本バスケットボール協会男子強化委員、全日本大学バスケットボール連盟男子強化委員長、関東大学バスケットボール連盟副理事長など歴任。

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